年に2回、必ずハウスクリーニングを依頼する方がいらっしゃいました。
特に家が汚れているというわけではなく、綺麗と言えないまでもそれなりにしっかり生活されている方でした。
そしてその方は行くと必ずお酒を飲んでいました。
ある程度仕事を進めると必ず、「飲み物を買ってきたから休憩して下さい」と仰ってくれました。
そして必ず「嫁はうるさかった。窓や壁を拭いてはタバコを吸うからこんなに汚い!と見せてきた。
ホントになあ。本当に。本当に、なあ。今は何もないんだもんなあ」とその声とその顔はその時が今になっていかに愛おしい時間であったかを語っていました。
どんな所に行ったかよりも、どんなプレゼントよりも、どんな記念日よりも、写真に残そうとも思わない当たり前な一日が結局のところ一番思い出に残るということを教えてくれました。
大切なものは失ってから初めて気づくと言いますが、忘れ物と一緒で後にならないと気づけないものなんですね。